あなたは知っていますか?「非課税」と「免税」を税理士がわかりやすく解説!
こんにちは、税理士の髙尾英樹です。
初回のコラムでも書きましたが、このサイト全般は私自身が作っているのではなく、別の方に作成していただいております。
その管理人の方がセミナーを開催されており、ちょうど確定申告期限前の時期でもあったので、参加してお話をさせて頂きました。
そのセミナーで話されていた内容で、とても印象的な内容がありました。
「ホームページ制作ではなく、WEBサイト制作という言葉が正しい」
2時間近いセミナー講義の中で、そんな基本的な言葉が印象に残ったのかと怒られそうですが、恐らく以下のようなことが言いたいのだと思います。
ホームページ→サイト内のトップページのこと
WEBサイト→まさしくサイト全体のこと
この間違った解釈で「ホームページ制作」をしてしまうと、当初意図したものとは全く異なるものが、できあがってしまうことでしょう。
ですが、実際にはWEBサイトという単語よりもホームページという単語の方が、日本では一般的に認知されていることも現実です。
実際私も、このサイトを管理している方を検索した際にはホームページ制作という単語で検索しました。
このように、プロの正しい解釈と、一般の方の解釈が全く別の意味になる言葉が、税金の世界にも多く存在します。
「非課税」と「免税」について
その別の解釈がされている言葉の代表的なものが「非課税」と「免税」です。
この言葉の意味の違いを、税金の世界に身を置いていないあなたが簡単に説明することができたなら、あなたに税理士は必要ないことでしょう(笑)
さて、「非課税」と「免税」についてそれぞれの言葉をGoogle翻訳で調べてみると、驚くべき結果が出ます。ぜひ実際にやってみてください。
非課税にする→Tax exemption
免税にする→Tax exemption
…どうでしょうか?。
本当は全く意味の異なる単語が、英語では全く同じ単語として解釈されているということです。
ですので、「非課税」と「免税」を英語で区別する場合に、私は混乱を避けるために次のように使い分けています。
非課税にする⇒Tax exemption
免税にする⇒Duty free
…どうでしょうか?
日本人にでもわかりやすい単語に置き換えられたと思うのですが、いかがでしょうか?
簡単に「非課税」と「免税」を区別すると、次のような違いがあります。
非課税→税金を課さない
免税→0%の税金を課する
私たちは「免税店」と呼びますが、「非課税店」とは呼びませんよね。
「免税店」をWikipediaで検索すると、難しいことが多く記載されています。
私も理解しようとして読みましたが、途中で心が折れてしまいました(笑)
確かに理解はできるのですが、正確に意味を説明しようとすると「免税」だけでも、非常に難しいのです。
多くの場合、「免税店」は「外国人旅行者向けの商品の販売について消費税を免除する店」であり、「消費税を課さない店」ではありません。
なぜここで免税店を例に出したかと言うと、この単語の違いが顕著に現れるのが消費税だからです。
免税と消費税
税金には、
- 「所得」に課されるもの
- 所得を使うときの「消費」に課されるもの
- 所得から消費をマイナスした「資産」に課されるもの
の3タイプがあります。
このうち、「消費」に課されるものの代表が消費税です。
他には酒税やたばこ税もこの類に入りますし、消費税導入以前には物品税というものも存在しました。
消費税は、その物品が消費された場所で課税されることを前提としています。
例えば外国人旅行者の方が日本でチョコレートを購入し国外で消費した場合に、日本の消費税を課することは、消費税法、国際慣行、租税法律主義などからも、そぐわないものとなります。
逆に言えば、外国人旅行者の方が日本の免税店で購入したチョコレートを日本国内で消費した場合には、消費税を徴収する必要があります(実際に徴収が行われているかどうかは別問題です)。
実際に消費税が非課税取引となるものは、下記のページに挙げられています。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm
次に、消費税が免税取引となるものは、タックスアンサーとしては下記のページに記載がありますが、具体的な列挙はされていません。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6551.htm
また、非課税と免税の違いを直接説明した下記のタックスアンサーもありますが、恐らく非常に馴染みにくい文章だと思います。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6205.htm
非課税取引は消費税法第6条、輸出免税は第7条、いわゆる免税店での免税は第8条、と、条文上でも明確な棲み分けがされています。
小規模事業者に係る納税義務の免除、いわゆる課税売上高1,000万円以下の場合も非課税ではなく免税となりますが、この話はまたの機会にします。(第9条)
では、なぜそんなに非課税と免税の区分が重要なのでしょうか?
先ほどのチョコレートの例が、非課税だった場合と、免税だった場合を考えてみます。
非課税
チョコレートを日本国内で購入し、日本で食べてもアメリカで食べても中国で食べても、日本の消費税は一切かかりません。
免税
チョコレートを日本国内で購入し、日本国内で食べた場合、前述の通り日本の消費税がかかります。
国外で食べた場合、ここから先は国と場合によりけりですが、食べた地域での消費税や増値税がかかる可能性があります。
このように、非課税と免税は似て非なるもので、最初に説明した「課さない」「0%課する」という解釈が最もシンプルな解釈と私は考えます。
最後に・・・。
これだけ免税について説明しましたが、実は日本国内の取引において、こと消費税に関しては、非課税取引の方が圧倒的に多いです。
まさに、WEBサイトという単語よりもホームページという単語の方が、一般の方に認知されていることと同じ事態です。
もしあなたがコンビニのレシート、特に切手やチケットを買ったレシートをお持ちでしたら、じっくり見てみて下さい。
「切手 62円✕1 62円 非」
などの記載が、実はあるはずです。これは、郵便切手類の譲渡が非課税取引にあたるためです。
ただし、今回ご説明したことは、あくまで全て法律に忠実に準拠した原則論であり、実務上は異なる取扱いをする局面が少なくありません。詳しいことはぜひ当税理士事務所までお問い合わせ下さい。
それではまた来月お会いしましょう。