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事務所移転の費用は開業費になるのか?の疑問に税理士がお答えします。

こんにちは、税理士の髙尾英樹です。

この度8月より、京阪本線光善寺駅から徒歩1分のビルに、新しく事務所を構えることになりました。

〒573-0064 大阪府枚方市北中振1-10-21-304

今までは自宅兼事務所で運営しておりましたが、私生活と業務の区別がつかなくなるなどの理由から、事務所を借りることにしました。
よって、これまで自宅であるという理由から伏せておりました事務所の住所を、公開できることになりました。

税金のことなどで、ちょっと相談に乗ってもらいたいと思う際には、是非お気軽にお立ち寄り下さい(但し、必ず事前にご一報下さい)。

さて、私たち税理士にとっては当たり前のことが、皆様はご存じないことが多いのだな、と実感したことが最近ありました。

それは、「繰延資産」というものです。

繰延資産と償却について

繰延資産というのは、費用として支出していても、その効果が1年以上にわたるため、1年で費用にせず一旦資産計上し、何年かかけて費用にする、というものです。

国税庁のサイトには、繰延資産として下記のページで3つの項目が列挙されています。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/houji314.htm

このページは法人税の項目の中に入っていますが、原則的には所得税でも同じ取扱いをしても構わないと考えられています。

例えば、1つ目に挙げられている「建物を賃借するための権利金等」を見てみましょう。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5460.htm

権利金や保証金などを賃貸住宅などを賃借の際に払うことはよくありますが、(3)の但し書きの中で

「この権利金等は、5年以内の賃借期間ならば、その期間で費用にする」

と記述があります。
多くの場合、賃貸住宅の契約更新期間は2年だと思いますので、2年で費用にできることになります(この「費用にする」ことを「償却する」と呼びます)。

ただ、繰延資産というのは、ここに挙がっているものだけではありません。
その他の代表的なものが、「創立費」「開業費」です。

創立費と開業費について

かなり具体的な事例として挙がっている国税庁の質疑応答事例に、次のようなものがあります。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/08.htm

簿記を少し習ったことのある方ならば、法人を創立・開業するために支出した金額は、5年で償却すると覚えたはずです。
しかし実務上は5年で償却することはまずなく、上記のページにも書かれている通り、「任意償却」という手段を選びます。

任意償却というのは、「好きなときに好きな金額だけ償却することができる」というものです。

これは非常に便利な制度で、事業の利益としては多額の黒字が出ていても、この任意償却を利用することで、税金を軽減又はゼロにすることができます(他にも利用できる制度がありますが、それはまたの機会にします)。
これは、5年で償却していたら利用できない最大のメリットです。

よくお客様から、会計ソフトに「創立費」と「開業費」があるのですが、どう違うのですか?と聞かれることがありますが、繰延資産に計上して任意償却を行う場合には、どちらの科目にしても同じことです。

企業会計上は、ざっくり言えば、「法人を設立するのにかかった費用」が「創立費」、「設立以降開業までにかかった費用」が「開業費」ですが、所得税の場合、実務上この部分を厳密に処理することは特に求められていません。
その他、お客様からよく聞かれるご質問に、以下のようなものがあります。

  • 開業前にパソコンを買ったのですが、これは開業費ですか?
  • 開業前に仕入れをしたのですが、開業費にしていいですか?
  • 開業のどれぐらい前までの費用が開業費になりますか?

※これらの回答は、TPOに応じます。気になる方は、是非お問合せ下さい。

移転の費用は開業費になるのか?

私が自宅兼事務所で開業したのは2年前の平成27年ですが、今回事務所を切り離すにあたって支出した多額の費用があります。これを開業費にしてもいいでしょうか?

一見すると新たな開業ですので開業費にしても良さそうなものですが、答えは「NO」です。

今回私が事務所移転に伴って支払った費用は、全て平成29年度の費用になります。
所得税における開業費の範囲について、とても分かりやすく書いてあるPDFファイルがありますので参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070914/pdf/26.pdf

この中の1. (1) ① 開業費の文章に、以下の記述があります。

「事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」

私は既に2年前に事業を開始していますので、今回の費用は開業費に当たりません。

これは私の今回の場合に限ったことではなく、例えば飲食店が支店を出店した場合にも、出店にかかる費用を開業費とすることはできません。

ただし、これを開業費以外で繰り延べる方法が複数存在します。これについて、気になる方は是非お問合わせ下さい。

それでは、また来月お会いしましょう。

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